R3予備論文(刑法)答案構成

刑法3.7ページ

①嘱託殺人×

殺人199より刑が軽くなる根拠として、死の意味を理解した真意に基づく嘱託が必要であるところ、本問ではこれがないので。

②殺人○

実行行為、因果関係、故意あり

③②の単独犯

①証拠隠滅×

他人の証拠といえないので。甲は共同経営していた父親が退いた後に単独で脱税しているので、父親が他人(共犯者)にあたることもない。

②証拠隠滅の教唆犯×

正犯すら不成立なので、因果性への影響が間接的で弱い従犯はなおさら不成立。

③窃盗○

『他人の財物』は他人の占有する財物の意味。窃取、故意あり。占有者を排除して、取引のために使うという経済的用法に従った利用意思あり。

④器物損壊×

他人の物ではないので。税務署からまだ差押えられてもいない。

⑤自己所有建造物等以外放火○

他人の物ではない。税務署からまだ差押えられていない。

放火、燃損あり。不特定の人の生命に対する危険を生じさせたので、公共の危険あり。公共の危険の認識は不要。毀棄罪より加重される要素と考えれば必要とも思えるが、『よって』の文言から結果的加重犯なので。

⑥延焼×

無主物は要件満たさないので。

⑦殺人の正犯×

不作為は因果性への影響が間接的で弱いので、重要な役割なし。

⑧殺人の幇助×

故意なし。

⑨嘱託殺人の幇助○

客観的構成要件該当性あり。不作為だが同価値性あり。正犯行為を容易にする幇助行為、正犯行為、結果、促進的因果関係、故意あり。片面的でも成立。

⑩③⑤⑨の併合罪

〜現場で考えたこと〜

今年は『自己物であれば犯罪不成立か』が執拗に問われている気がする。自己の犯罪の証拠隠滅は不成立、自己所有物の窃盗は成立、無主物への延焼は不成立、自己物でも差押えがあれば他人物になる、など。

過去問では身分犯(賄賂と業横)が重ねて問われていた年度もあったので、テーマ性は大事。

それにしても分量多い。。。刑訴ちらっと見た限り、刑法に多く時間割いて良さそう。

証拠隠滅を書くことにしたのは、これを書かないと問題文前半がほぼ無意味になりそうだから。もし父親を巻き込んでいたら正犯成立がありえたし、預け先の人を巻き込んだ点は従犯成立がありえる、という整理。なお、証拠隠滅教唆不成立は山口説を書きたかっただけ。

答案構成時は燃やすために帳簿を盗んだと誤読したので利用処分意思否定するつもりだったが、燃やす意図が生じたのは盗んだ後だと答案書きながら気づいたので、利用処分意思肯定方向に軌道修正。

R3.7.26追記

伊藤塾分析会を踏まえて〜

予想評価B

罪証隠滅は『書いておいたほうが安心』程度らしい。

242条を指摘できなかったのは痛い。

税務署の差押えうんぬんとか延焼罪は余計だったみたい。

甲の嘱託殺人幇助の多論点の書く順番が不適切だったので減点されるかも。

あと、全体的に理由付けを省略して定義から直接書いたりしたので点が伸び悩むかも。Aは難しそう。