R3予備論文(民法)答案構成
民法3ページ
設問1
①売買
ワイン引渡しは不能。不能は412の2に従って判断。冷蔵保存が必要な飲用ワインが目的物(発生原因)。販売業者間なので飲用が目的であることは当然の前提だったはず(社会通念)。よって不能解除542⑴①が認められる。
②賃貸
倉庫引渡しは不能でない。もっとも、①が不能であることから②を解除できるか。別個の契約は原則として不能も別個に判断。ただし、複数契約が密接関連で、片方の履行だけでは全体として目的不達成ならもう片方も解除できる。本問ではワインがないので保存用倉庫も不要。反論として、本件ワイン以外のワインも保管する予定があったはずなので、倉庫だけ引渡しを受ける意味はある。再反論として、本件ワインの販売が順調ならは、という仮定に過ぎない。目的不達成。よって解除542⑴③類推できる。
設問2⑴
①特定性…場所、種類を限定している。集合物という概念によって特定あり。
②適法性…限定しているので他の債権者を不当に害しない。公序良俗違反なし。
③178の引渡しには占有改定も含まれるので対抗要件具備。
④よって有効かつ対抗要件あり。動産集合譲渡担保契約の有効性を第三者に主張できる。
設問2⑵
本件ウイスキーと同種同品目のものが本件譲渡担保契約時に倉庫内にあったという事情はなく、同種同品目の補充として搬入されたわけではない。同契約の効力は本件ウイスキーに及ばない。
〜現場で考えたこと〜
542⑴③か⑤かで悩んだ。どちらもダイレクトに当てはまらない気がした。複数契約の解除は民法改正で条文化されなかったというような記憶があったので、類推構成にしてみた。
契約の有効性と対抗要件を分けて検討。有効性は特定性、明確性、適法性だが、明確性が分からん。
どっちがウイスキー所有権の主張ができるかは、合意事項③の解釈上、譲渡担保の効力が本件ウイスキーに及ばないのでは?という安直な発想で手短に片付けた。
R3.7.25追記 〜伊藤塾分析会を踏まえて〜 予想評価B 参考答案と全体的にほぼ同じ構成でびっくりした。特に設問2⑵。 設問1について、伊藤塾では、論マス等で扱っていない判例が素材とされていることから、現場思考問題として位置づけている様子。 483は反論として書くべきだった。 結局、賃貸借契約を解除する根拠が542①の何号なのか(あるいは明文なく解除が認められるのか)が分からないまま。参考答案も何号かまでは明示していない。 設問2⑴は、誘導がない以上、適法性について触れる必要なかった、ということ? 設問2⑵は、H30判例を知ってたのに答案に活かせなかったのが残念。これ書ければAだったと思う。答案への活かし方まで想像して日頃からストックしておく必要性を改めて感じる。 なお、『補充』にあたらない、という契約解釈アプローチ自体は、的外れと言い切れないらしい。